ハラール市場で出遅れた日本 MIHAS2014レポート
KLCC(クアラルンプールコンベンションセンター)で、4月8日から12日まで、マレーシアインターナショナルハラルショーケース2014が開催されました。この展示会は、ハラール商品の展示会です。11日と12日にこの展示会に参加してきました。 展示会雰囲気などは、参加された日本企業のサイト等で紹介がされると思います。このブログでは、展示会において肌で感じた、ハラール市場における日本企業の課題に注目しましょう。
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国を挙げてハラール市場進出のためのマーケティングを展開する海外諸国
展示会には、マレーシアを中心にインドネシア、タイ、韓国、台湾、中国、サウジアラビア、ベルギー、イタリア等の企業がブースを出していました。もちろん日本企業のブースもありました。
台湾は、公的機関主導でブースを出展していました。韓国、インドネシア、サウジアラビア、タイも、同様の出展ブースを構えていました。サウジアラビアのブースは、さながら高級車や高級不動産のお店の様でした。これらの国のブースでは、全体のイメージを統一し、イベント等を行い、PRを行っていました。
日本企業に関しては、NPO主導の統一ブースと、個別企業のブースがありました。しかし、他国と比較すると、効果的なマーケティングを行う体制ができているとは感じませんでした。
ハラール市場では完全に出遅れた日本
展示会の会場を飛び出して、市中のスーパーマーケットをのぞいてみましょう。マレーシアにはイオン、伊勢丹、そごう等の日本のスーパーや百貨店が出店しています。日系スーパーに行けば、日本で生産された製品だけのコーナーがあります。ここだけを見ると日本製品が売れている印象を受けるかもしれません。しかしそこには、ハラール認証を受けた商品は、多くありません。
豆腐、うどん、醤油等の日本、韓国、中国等が共通に消費する商品や日用品の棚を見てみましょう。そこには、日本、欧米、中国や韓国製の商品、マレーシアやインドネシアで生産された商品が並んでいます。多くの商品がハラール認証を取得しています。
日本のメディアでは、日本企業に最後に残された市場として、ハラール市場が紹介されています。しかしこの市場では、既に多くの企業が激しい競争を繰り広げています。マレーシアから見ると、ハラール市場においては、日本企業は完全に出遅れていると感じます。
官民協力してのハラール市場でのマーケティングが必須
ハラール市場において日本が存在感を示すためには、官民協力してのマーケティング体制が不可欠でしょう。海外の展示会に参加すると、県単位、市単位、民間団体主導で、それぞれ個別に出展している場面を見かけます。それぞれが小さく、地元企業とあまり変わらないブースを構えています。
一方で、日本のひとつの県よりもGDPの低い国が、国として立派なブースを構えている場面を見ることがあります。 確かに、日本企業全体での費用の方が、小さな国の費用よりも大きいかもしれません。しかし、来場客への印象では、圧倒的に負けています。
今でも日本は世界有数の経済大国です。日本がハラール市場での存在感を示すには、官民協力しての組織的、効果的なマーケティングが必須です。
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マレーシアは、日本よりも人口も少なくGDPでもかないません。しかし、20年近い時間を掛け、戦略的にハラール市場での存在感を高めてきました。その結果、マレーシアは、約19億人の人口を持つハラール市場において、ハラール認証制度を効果的に活用して主導的な立場に立っています。
- マレーシアから、学ぶべきところは素直に学ぶ
- 官民挙げて組織的、効果的なマーケティングを展開する
ハラール市場における日本の存在感拡大のためには、上記の二点が必須であると肌で感じたマレーシアインターナショナルハラールショーケース2014でした。