日本式では駄目?マレーシアの日式飲食繁盛店二つのポイント
マレーシアにも、多くの日式飲食店が進出しています。鮨、牛丼、ラーメン、うどん等、日本でもお馴染みの有名店も進出しています。しかし、その全てが流行っているようには見えません。そこには、マレーシア人と日本人の外食スタイルの違いがあるようです。
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マレーシアでも人気のある日式飲食店
マレーシアでも他の東南アジア地域と同様に、日本食が広く受け入れられています。クアラルンプール市内のショッピングモールに行けば、ラーメンや鮨を中心に日式飲食店を見かけます。
現地の方にお伺いすると、日本食の珍しさやイメージ等から、開店当初は多くのお客様が入るようです。しかし、少し時間が経つと、流行っている店とそうでない店に分かれるようです。
街角で見るマレーシアの外食スタイル
マレーシアの街中では、次のようなお店を良く見かけます。
ホーカー・フードコート
日本の屋台村です。好きなお店で好きなメニューを注文し、真ん中のテーブルで食事を楽しみます。夜になるとホーカーに集まって食事している、家族連れや友人のグループを良く見かけます。
経済飯
マレーシアのホーカーやフードコートでは、「経済飯」と書かれた食事を良く見かけます。ご飯を中心に、目の前のトレーの好きなオカズを、自分で選んで盛って食べるスタイルです。庶民街からビジネスビルまで、どこにでもあります。
マレーシアの外食スタイル三つの特徴
マレーシアの街角で観察していると、マレーシアで好まれる外食スタイルには、次の三つの特徴があるようです。
- 食べたいものを
- 少しづつ
- みんなで楽しく
マレーシアで流行っている日式飲食店
クアラルンプールで流行っていると評判の日式飲食店には、次の様なお店があります。
回転鮨
日本でお馴染みの回転鮨です。さまざまなショッピングモールで見かけます。
- 一皿ずつ好きな物をつまめます。
- 一皿の量も価格も高くないです。
- 一品物のサイドオーダーも豊富です。
- 家族みんなで食べられる鍋等もあります。
鍋(すき焼き?)
クアラルンプールの中心にあるパビリオンに入っている、バイキングで時間制限有りの食べ放題の鍋のお店が有名です。平日でもいつもお客様が入っています。
- 好きな物を好きなだけ食べられる
- 鍋なので皆で楽しく食べられる。
- いくら食べても、価格が決まっている。
マレーシアで流行っている日式飲食店二つのポイント
現地から見ていると、マレーシアで流行っている日式飲食店には、二つのポイントがあるようです。
1.現地ライバルに対抗できる価格
クアラルンプールの中心部にある小さなショッピングビルに、日式ラーメン店が入っています。そこには、日式ラーメンだけでなく、中華麺、カフェ、KFC等も出店しています。
中華麺の価格は約MYR10-15(約300-450円)。KFCのセットメニューと同価格帯です。一方日式ラーメン店の一杯の価格は、その2-3倍の価格です。ここまで価格差があると、一般の方は入るのを躊躇するのではないでしょうか。
先程ご紹介した鮨と鍋のお店は、合計の飲食代では、決して安いとは言えません。しかし、一品ごとの価格は、現地ライバルと比較して高くは無いと感じます。
2.マレーシアの外食スタイルに合っている
マレーシアでの外食は、家族や友達と、皆で楽しくというスタイルだと感じます。日本に居ると気づかないかもしれませんが、日本の飲食店は、意外に個人主義的です。「おひとりさま」は、まさにその象徴ではないでしょうか。この点が、マレーシアと日本の外食では、大きく異なっていると思います。
家族や友人と、会話を楽しみながら楽しい時間を過ごす。このスタイルを取り入れることが、マレーシアで流行る日式飲食店のポイントと感じます。
日本式へのコダワリだけでは繁盛しない日式飲食店
マレーシアの鮨は、日本基準から見れば、鮨ではありません。先程紹介した鍋(すき焼き?)も、中華式に近いです。マレーシアで流行っている日式飲食店は、味でなく現地のライフスタイルに合わせることによって繁盛しているようです。
マレーシアで日本人が運営する日式飲食店には、日本の味やスタイルにこだわっているお店もあります。日本式のコダワリによって、現地の日本人や観光客等は獲得できるでしょう。しかしその一方で、大多数を占めるマレーシア人の顧客を逃している可能性があるのです。
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東南アジアのほとんどの大都市には、すでに複数の日式飲食店が出店しています。マレーシアも例外ではありません。そのため、日本人や観光客だけをターゲットにした日式飲食店は、過当競争に陥っていると感じます。
しかし一方で、「日本食」は、まだまだチャンスがあるとも感じます。マレーシアは、まさに今、日本の高度経済成長期のような状況なのです。新しい、美味しい食事への欲求は、これからまだ伸びるでしょう。
マレーシア進出を検討している日本の飲食関連の方は、この現状をぜひ知って頂きたいと思います。