海外でも売れる? マレーシアからみた日本製品の三つの課題
日本製品やサービスに対する海外での高評価。海外での日本製品の成功のニュースを聞くと、日本人としてとても勇気づけられます。しかし、今ひとつ成功していない日本製品も、現地では目にします。そこには、日本企業の製品開発における、三つの思い込みがあると感じます。それは、プロダクトアウト思考、Made in JAPAN、ALL JAPANです。
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日本企業に多いプロダクトアウト思考
「日本食の美味しさを海外の人に伝えたい」
「日本のおもてなしの心を海外の人にも伝えたい」
海外進出のご相談の中で、日本企業の方からよく聞くコメントです。海外旅行に行くと私達日本人は、日本の製品やサービスの良さを体感することが多いと思います。私も日本に帰ってくると、何となくの安心を感じます。しかしこの感覚を出発点にすると、「日本製品なら売れるはず」「日本製品の良さはわかって頂ける」と思い込んでしまいます。
人間にとって、慣れ親しんだ味、習慣、文化を変えることが、最も難しい事なのです。「海外の消費者に、日本の素晴らしい製品を届けたい」という思いは、間違ってはいません。しかしそれは、現地の方に受け入れられなければ、成立しないのです。
海外進出で成功するためには、その国の顧客の嗜好や生活状況等に合わせたカスタマイズが、必要になります。
Made in Japanの幻想
海外に行った際には、現地の方にどの様な製品やサービスが欲しいかを、インタビューするようにしています。そのインタビューから、現地で受け入れられるために必要な要素が、浮かび上がってきます。
- 機能は目的が達成できれば良い。
- 品質は程々で十分。
- 価格は無理せず購入できる範囲。
マレーシアやドバイで聞いた日本製品やサービスに対する評価は、「高品質だけど高い。私は中国製で十分。」というものです。日本製は高品質だから・・・。高価格でも高品質の物が欲しい・・・。世界トップレベルの経済大国の日本の消費者だからこその嗜好のようです。
「使っている時はどこの国で作られたかなんて、誰も気にしないだろ。」マレーシア在住のインドの方から言われた言葉です。海外の消費者にとって、日本製であることや日本での販売実績は、日本人が思っているほど重要ではないのです。
ALL JAPANのエゴ
「ALL JAPAN」という言葉を聞いたことがありませんか? 海外進出の場面では、最近良く言われます。日本企業だけで、海外での成功を目指すという意味です。
すでに述べたように、現地の消費者にとっては全く意味の無い言葉です。適正な価格と品質であることが、良い製品であり良いサービスなのです。その製品が 日本企業の製品かどうかは、二の次なのです。
「ALL JAPAN」という考え方は、日本の雇用や経済を発展させたい日本人にとってだけ、都合の良い考え方なのです。
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マレーシア進出で成功するためには、現地の顧客に受け入れられるための努力が必要です。日本向けの製品が、そのままで受け入れられることは、とてもラッキーなことなのです。
これからマレーシア進出をお考えの方は、あなたの製品やサービスを受け入れていただくための努力が必要なことを、認識してください。