なぜ誰も質問しないの?マレーシアで見た日本企業視察の課題

2017-06-26視察・アテンド

日本企業は、視察に来ても全く質問しない。なぜ?」マレーシアで視察受入側のコンサルタントとして仕事をする中で、マレーシア人担当者から、こんな質問を頂いたことがあります。確かに日本企業の視察を見ていると、「かれらは何の為に視察に来ているのか」と感じる視察団が有ることは事実です。マレーシアまでの旅費と時間を考えると、非常に勿体無いです。ビジネスに繋がるマレーシア視察を行うには、自らが主体的に視察ツアーに取組むことが必須です。

マレーシア団体視察ツアーの特徴

毎年多くの日本企業視察団が、マレーシアにやってきます。地方自治体、商工会、旅行会社、コンサルティング会社等の主催で、多くの日本企業が訪れます。初めてマレーシアに視察に来る企業の方は、団体視察ツアーに参加される場合が多いようです。団体視察ツアーの最も大きな課題は、視察場所が制限されることです。

なぜなら・・・

  • さまざまな業種の方が参加するので、参加者全員がある程度満足できる視察場所に限られる。
  • 大人数を受入可能な施設に限られる。

団体視察ツアーでは、同業団体等が主催する場合や視察ツアーの目的が限定されている場合を除いて、あなたが見なければならない場所を訪れることは、なかなか難しいのです。

手配型視察ツアーがお勧め

マレーシア視察の成果を最大限にするためには、団体ツアーではなく、自らが企画し手配型視察ツアーを組むべきです。周囲にいらっしゃる同業の方と、小規模グループでツアーを組まれるのも良いでしょう。

視察目的の明確化が成果を最大化

手配型視察ツアーを組む場合には、自ら企画を立て視察先を見つけなければなりません。そのためには、視察目的を明確化する必要があります。視察目的を明確化する為には、次の点を事前に考えなければなりません。

  • なぜ視察に行くのか
  • なにを視察で得たいのか
  • どこに視察に行くのか
  • いつ視察に行くのか

このためには、事前調査が必要となり、その過程で視察すべき施設、視察で解決したい課題、現地で解決したい疑問点等が明らかになってきます。この準備こそが、視察の成果を最大化するのです。この準備によって、現地で何を見なければならないか、何を聞かなければならないか等、求める結果を得るための行動が明確化できるのです。

マレーシアの習慣に合った視察スケジュール

マレーシア視察を組む場合、次の点には注意しておく必要があります。

  • マレーシアは車社会です。渋滞等により想定よりも時間がかかる場合があります。
  • ムスリムの方は、午後にお祈りをする習慣があります。特に金曜日の午後のお祈りは非常に重要です。
  • ラマダン開け、チャイニーズニューイヤー、スクールホリデー、独立記念日等。日本よりもシッカリ休みます。

例えば、マレーシアのチャイニーズニューイヤーの祝日は、公式には2日間です。しかしながら、中華系の多くの人々は、この後の1週間前後シッカリと休みます。日本のお正月と同じように、家族と過ごしたり、海外旅行に出かけたりします。そのためこの期間中は、マレー系の企業を含む多くの企業で、人が足らない状態になります。実際に私がアテンドした企業で、「あと一週間前か後ろにしてくれれば・・・」と断られ、望んだ視察ができませんでした。

マレーシアのコミュニケーションスタイルに合った視察スタイル

マレーシアで視察を成功させる為にマレーシアのコミュニケーションスタイルに合った視察スケジュールを組むということも重要です。こちらのビジネスミーティングでは、しばしば時間が長引くことがあります。ビジネスの核心部分と世間話を行ったり来たりしながら、新しいアイディアがでたり、ビジネスが進んだりします。想定したよりも重要な話になり、次のミーティングを飛ばしたり、時間変更したりすることもあります。

日本での視察のように分刻みの余裕のないスケジュールを組んでいては、マレーシアのコミュニケーションスタイルに合った視察ができません。「貴社のビジネスモデルについてもっと聞かせて欲しい」そんなリクエストが視察先から出るかもしれません。想定外の重要な話が聞けるかもしれません。

視察受入先は、ただ単なるボランティアではないのです。受入先も何らかのメリットを感じて、あなたを受入れているのです。あなたがコストと時間をかけてマレーシアに視察に来ているように、受入先も貴重な時間を割いています。何らかの形で両者にメリットがある視察を目指すべきです。

マレーシア視察ツアーを成功させるためのポイント

マレーシアでの視察ツアーを成功させるためのポイントをもう一度整理しましょう。

  1. 視察目的を明確化し、事前の下調べ等を十分に行う。
  2. 渋滞などの不可抗力の可能性を考え、余裕を持ったスケジューリングを行う。
  3. マレーシア側が視察受入れてよかったと思える訪問者になる。

手配型視察ツアーの場合、自ら企画を立て、自らのニーズに従ってスケジュールを組み立てることができます。そのため、実りある視察ツアーにすることができるのです。団体視察ツアーに参加する場合には、スケジュールや視察先を、自らのニーズに合わせることはできません。しかしながら、事前に十分な準備をすることによって、費用対効果の高い視察ツアーにすることができます。

手配型視察ツアーの手配方法

ここまで、手配型視察ツアーをお薦めする理由を検討してきました。それでは、実際にどのうように手配型視察ツアーを手配すれば良いのでしょうか。

  1. 日本の旅行代理店に、航空券、現地手配の全てをすべてお願いする。
  2. 現地コンサルティング会社に、現地手配をお願いする。
  3. 現地手配を含めて、すべて自分で手配する。

日本の旅行代理店や現地コンサルティング会社に現地手配お願いする場合、視察先の選定や日程等については、あなたが主導で企画を進めましょう。なぜなら、現地支店が有る有名旅行会社でも、数多くのアテンド経験があるコンサルティング会社でも、あなたが見なければならない場所を知っているとは限らないのです。視察先を見つける方法は、ウェブサイト、JETRO、新聞記事、人による紹介等、数多くの方法があります。

航空券、ホテル、現地移動、通訳等は、旅行会社に一括で頼んでしまったほうが良いでしょう。マレーシアでも日本と同じように、サービスとして旅行手配を行うには、ライセンスが必要です。特に複数の企業等のグループでいく場合には、予約や集金の窓口も含めてお願いしたほうが無難です。確かに自分で手配をすれば、コストを少しでも下げることができます。しかし、そのために時間を費やして神経を使うのは、下がった費用に見合わない事が多いのです。


冒頭でご紹介したマレーシア人の言葉には、続きがあります。

日本企業は、視察に来ても全く質問しない。帰国してからお礼のメールも無い。その後にビジネスの話が来るわけでもない。何の為にマレーシアまで来るの?」

日本の視察団を受入れても意味がない。なぜなら、その後のビジネスに全く繋がらない。」別の方からは、こんなお話しをお伺いしたことがあります。

欧米や中国企業は、非常にアグレッシブのようです。そして視察が、ビジネスに繋がっているでしょう。ビジネスに繋がらなくても、マレーシア側の受入先企業が、なんらかの達成感を得ているのではないでしょうか。日本企業の視察がこのような感情すら喚起できないのであれば、マレーシア側から見れば時間とコストの無駄に見えてしまいます。

このような事態が続いていると、日本企業の地位が低下する一方です。マレーシア側にとっても日本側にとっても、視察は無償ではありません。人的、時間的コストが掛かっているんです。これから視察に参加される方はこの点を肝に銘じて、実りある視察ツアーを実現してください。