マレーシア進出成功の鍵は中間層 知っておくべき二つの統計
マレーシア進出の成功には、自社製品やサービスのターゲットを誰にするのかが、非常に重要です。日本市場の感覚でターゲット層を想定してしまうと、マレーシアでのチャンスを逃してしまう可能性もあります。マレーシア進出の成功の鍵となるターゲット設定において、マレーシア市場で最も注目すべき中間層について、知っておくべき二つの統計データをご紹介しましょう。
マレーシア進出における三つのターゲット層
マレーシア進出においてターゲット層を想定するための指標には、年収、投資可能金額等、さまざまな物があります。ここでは、製品やサービスの購入という点を考慮して、世帯可処分所得を指標としてターゲット層を想定してみましょう。
ターゲット層 | 世帯可処分所得 |
高所得層(富裕層) | USD35,000以上 |
中間所得層(中間層) | USD5,000~35,000未満 |
低所得層(貧困層) | USD5,000未満 |
アジアにおけるターゲット層人口の推移
アジアの中間所得層と高所得層の人口は、次のように推測されています。
アジア全体の高所得層と中間所得層の人口推計
想定状況 | 2020年人口推計 | 2030年人口推計 |
高位推計(現在の経済成長が維持) | 19.5億人 | 25.9億人 |
低位推計(インドと中国が失速) | 15.5億人 | 19.9億人 |
アジア全体の中間所得層の人口推計
想定状況 | 2020年人口推計 | 2030年人口推計 |
高位推計(現在の経済成長が維持) | 17.4億人 | 15.8億人 |
低位推計(インドと中国が失速) | 14.4億人 | 18.0億人 |
中間所得層は、今後の経済成長にともなって一部は高所得層に移行するものの、低所得層からの移行が続くことが推測されます。また、アジア全体としては、人口増加によりさらに、マーケットボリュームが拡大することが推測されます。
マレーシア進出成功のキーポイントは中間層
中間所得層は、2020年には少なくとも約14億人、2030年には約18億人に拡大することが推計されています。このような中間所得層の特徴をまとめると次のようになります。
- 経済成長にともなって、中間所得層の一部は高所得層に移行するが、低所得層が中間所得層に移行するので、ターゲット人口が拡大する。
- 商品やサービス価格の面から考えると、中間所得層が購入できるものは高所得層も購入できる。
- 中間所得層が高所得層に移行しても、商品やサービスを購入し続ける可能性が高い。人の習慣は簡単には変えられない。
この状況を考慮すると、中間所得層は、マレーシア進出を成功に導くための、最も重要なキーポイントになると考えられます。
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このような人口統計は、最も外れない社会統計の一つと言われています。とすれば、アジアでの中間所得層の増加は、多少のブレが合っても、確実と言えるでしょう。
誰をターゲットとするのかは、海外進出の成功を左右する最も重要な要因です。最も慎重に設定すべきです。マレーシア進出を検討されている方は、ぜひもう一度ターゲットの設定について熟考してください。
参考:
アジアの「内需」を牽引する所得層 景気が失速しても、中間所得層の拡大は大きい
NIRAモノグラムシリーズ No.31 2010年6月 財団法人総合研究開発機構