Matta Fairで見たインバウンドプロモ-ション課題

2018-07-22コンサルティング,ムスリムインバウンド

2014年9月5日から7日までマレーシアのクアラルンプールにあるPWTCで開催された、マレーシア最大の旅行博「MATTA FAIR SEP 2014」に、出展者として参加してきました。私のMATTA FAIRへの出展者としての参加は、今回で二度目になります。この二回の参加によって、マレーシアで訪日を希望するムスリム観光客やムスリム系旅行会社の方から、多くのお話しお伺いすることができました。この経験から、マレーシアにおける訪日プロモーションの課題が見えてきました。

MATTA FAIRでみえたインバウンドプロモーションの課題

MATTA FAIRでは、私のパートナーであるManzoku Tourist(M)SDN BHDと株式会社サラーム・パートナーズとともに、実際に訪日ムスリムフレンドリーツアーの販売を行いました。

マレーシアの顧客が今すぐ購入できる動線が無い

クアラルンプールで旅行を計画している多くの方が、このMATTA FAIRに来場して旅行を購入します。MATTA FAIRへの入場は入場料が必要なため、来場者も真剣です。多くの現地旅行代理店が、相談用の椅子を用意し、実際に価格を提示して熱心に販売しています。MATTA FAIRは、プロモーションの為の場所というよりも、実際にツアーを顧客に対面で売る場所なのです。

半年に一回開かれているクアラルンプールのMATTA FAIRは、マレーシア開催されている旅行博の中でも、最大規模です。もちろん、日本政府観光局の日本ブースもあります。全体を小さなブースにわけ、それぞれに地方自治体やいくつかの民間企業が、別個に出展しています。実際に旅行代理店が、ツアーを販売しているわけでは有りません。

私はこのブースを見た際に、一つの疑問を持ちました。「日本旅行が初めてのマレーシア人に対して、個別の観光地案内が実際のインバウンドに繋がるのだろうか?」 マレーシアから日本へのインバウンドは、本格的に始まったばかりです。 かれらに必要な情報は、その観光地のPRだけでなく、実際にそこに行くことができるツアー情報も必要なのではないだろうか。

MATTA FAIRでは、来場者の多くが実際に旅行を購入しています。日本ブースで更に強くなるであろう日本旅行への期待を、実際に観光地に行く(訪日旅行を購入する)行動に繋げる動線を、組み込む必要があると感じました。

マレーシア顧客視点が無いプロモーション

参加した二回のMATTA FAIRの会場では、実際に話しをした日本旅行希望者や販売する立場の現地ムスリム系旅行会社の方に、なぜ日本旅行に来ない(売らない)理由を伺いました。

ムスリム観光客については、皆さんもご承知のように、ハラルが大きな壁になっていることは確かです。特にムスリム系旅行会社は、ハラルの不安の為に、日本旅行は積極的に売れないとおっしゃっていました。しかしその一方で、「日本の観光地のプロモーションでは、どうやって売ったら良いか判らない」との声が聞こえてきたのです。

「日本の観光地のプロモーションのミーティングには何度も招かれた。しかし、それぞれの観光地では、その観光地の事しか教えてくれない。私たちが知りたいのは、どの観光地を組み合わせれば魅力的なツアーになるのか。そのツアー代金の総額はいくらなのか。二度目や三度目のお客様向けの新しい観光地は無いのか。」

日本の観光地のプロモーションは個別バラバラにやっていて、マレーシア顧客視点から全体としてコーディネートがされていないようなのです。MATTA FAIRの日本ブースでも、同じ印象を受けました。マレーシア側は訪日旅行を熱望しているにも関わらず、日本側からはマレーシア顧客視点で購買行動に繋がる有効な情報提供がなされていないのです。

マレーシア顧客視点からのインバウンドマーケティングが必須

MATTA FAIRに出展者として二度参加して感じた日本のインバウンドの大きな課題は、マレーシア顧客視点での情報提供やツアー開発が十分になされていないという点です。

日本の観光地が、お客様を呼びたい気持ちは良くわかります。しかしながら、マレーシア顧客視点に立てば、お金を払ってまで訪れたい魅力的な観光地は限られているのです。また、初めて訪れたい場所と、二度目、三度目の訪日旅行場所の魅力は、全く異なるのです。

この現実を冷静に受け入れ、それに基づいた観光地の魅力の訴求できなければなりません。また、いくら魅了的な観光地でも、そこに至る方法が判らなければ訪れることはできないのです。そのためには、具体的なツアーの販売が必要なのです。

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日本のインバウンドにおいてまずやらなければならないことは、次の二点だと私は思います。

  1. あなたの観光地は、お金を払って行く価値がありますか。行く価値があるのであれば、その魅力を現地視点で訴求できますか?
  2. 海外からの観光客が、簡単にあなたの観光地に行くことができますか。具体的には、団体ツアーのコースに組み込まれていますか?

「うちにはこんなに素晴らしい観光資源がある。だから海外からの観光客の方にも、この魅力はわかって頂けるはず。」このような内容のお話しを日本では良く伺います。しかし現地視点でみれば、日本側の都合の良い解釈でしかありません。

まず、あなたの観光地が魅力的に映らなければ、そして、簡単にアクセスする方法が担保できなければ、多くの観光客が訪れる事は無いのです。いくら英語のホームページを作っても、ハラール対応を行っても意味がありません。

ちょっと厳しい言い方ですが、この現実を冷静に受け止め現実的な視点からスタートすることが、インバウンド成功のポイントだと、私は強く感じます。