私は見た!!マレーシア、インドネシアのラマダーン!!

2018-07-22マレーシアビジネス日記

「イスラム教徒の人々は、一ヶ月間本当に何も食べないのですか?」ラマダーンを「断食月」と表現するためでしょうか、こんな質問を投げかけられた事があります。一ヶ月何も食べない訳ではありません。日の出から日没まで飲食を断ちます。日本では身近に知る機会の多くないラマダーンについて、マレーシア、インドネシア、ドバイでの私自身の体験をご紹介しましょう。

皆の前では食べないでね

私が初めてラマダーンに遭遇したのは、ドバイです。初めてという事もあり、事務所でクリスチャンのスタッフに呼ばれ、次のように言われたことを今でも覚えています。

「あなたは断食に付き合う必要はない。けれども、他のムスリムのスタッフは、みんなお腹が空いているのを我慢している。皆の前では食べないでね。事務所内で食べてもかまわないけど、皆から見えない所でね。」

ラマダーン中は、ドバイモールからBGMが消え、カフェやレストランは閉店。外国人向けのレストランは、聞かなければわからない奥まった場所にあり、サインボードもなくひっそりと営業していました。一般家庭でのラマダーンを垣間見る機会には恵まれませんでしたが、ラマダーン前とは一変した街の雰囲気から、中東にいることを強く実感した記憶があります。

ラマダーンでビジネスがスローダウン

ラマダーン期間中のドバイでは、ビジネスがほとんど前に進みません。
この期間中には、普段よりも宗教的な生活を過ごす方が多いのです。夜には、家族、親戚、友人等と毎日のように会食し親交を深めます。ラマダーンで太る人もいるとも聞きました。夜に積極的に活動し日中に飲食しないためか、皆さん日中はお疲れです。午後のお祈りが終わると、そのまま帰路に着いてしまう人もいます。ラマダーンとその前後1-2週間は、ビジネスのスピードが極端に落ちるのです。

中東では多くの住民がムスリムです。ラマダーン中のドバイでは、ムスリム以外の人々は、ムスリムの信仰や習慣を最大限に尊重していました。

多宗教社会のラマダーン マレーシア、インドネシアの場合

マレーシアやインドネシアのラマダーンの風景は、中東のそれとは異なっています。
マレーシアでは人口の約6割を、インドネシアでは人口の約9割を、ムスリムが占めています。ラマダーンの期間中は、それを祝うデコレーションが、街中に施されています。しかしそれ以外は、ほぼ普段と大きく変わりません。


マレーシアでは、ラマダーンを祝う飾り付けが街中に施されています。夕方になると街のそこかしこに屋台が出現し、ブカプアサの買物をする人々で賑わいます。ブカプアサとは、一日の断食明けの最初の食事です。ラマダーン中は、自宅やレストランに家族、親類、友人達と集って、ブカプアサを楽しみます。

ラマダーン中の日中のレストランやカフェは、いつもとあまり変わりません。私が利用するスターバックスでも、いつもと同じスタッフが、いつもと同じメニューを提供しています。断食中だからといって、中華系やインド系だけが働いているわけではありません。日中はムスリムのお客様は来店しないので、いつもより閑散としています。

マレーシアよりもイスラム教徒比率の高いインドネシアでは、外から飲食している所が見えないように工夫をしている店も多いです。上の画像は、ジャカルタの空港のカフェです。中で飲食しているのが見えないように、のれんをかけています。

 

お昼ごはん食べた?

ラマダーン中に、ジャカルタの友人宅を訪れる機会がありました。
私がジャカルタの空港に到着したのは午後1時すぎ。ラマダーンでなければ、お祈りしたらお昼でもという時間です。

「お昼ごはん食べた? お腹すいてない? お昼に行こう。遠慮しなくていいから。」

空港で出迎えてくれた友人の最初の一言です。私の友人は敬虔なムスリムです。今回のラマダーン中にメッカ巡礼に行く予定で、それをとても楽しみにしています。自分もお腹が空いているのに、私を気遣ってくれているんです。もし一緒にお昼に行ったとしても、友人は何も食べずに、席に着くだけでしょう。
「途中で水とコーヒーを飲んだから大丈夫」と私は答え、友人宅に向かいました。

なんで今食べないの?

午後3時頃の友人宅では、家族や親類の女性が集まって、ブカプアサの準備中でした。
お喋りを楽しみながら調理をしている女性陣に挨拶に行くと、友人の姉がしきりに試食を勧めてきます。

「これは何?」
「食べてみて。」
「今はいいよ。あとで皆と一緒に食べるよ。」
「なんで今食べないの?食べなさいよ。」

こんなやり取りが何度か繰り返されます。当然ですが、私には試食を勧めても、彼女達は、日没までは食べないしょう。

ブカプアサに行こう!!

友人が、中学の同級生が集まるブカプアサに、私を招待してくれました。
皆さん、奥さんや旦那さん、子供、両親、友人と連れ立って来ています。日本の様に誰かが一言挨拶したり、皆が揃うまで待ったり、ということはありません。適当に集まってきて、時間になったらそれぞれに食事を食べ始め、おしゃべりしたり写真を撮ったりして、親交を深めます。最後は、ムスリムの方は皆でお祈りをして、お開きとなりました。
この日のブカプアサに招かれたのは、ムスリムだけでなくクリスチャンの同級生もいました。

ラマダーン中にムスリムとカフェ

ジャカルタを離れる日。友人が空港まで送ってくれました。
ジャカルタの交通渋滞は予測が付きません。余裕を持って出発したため、だいぶ早く空港に到着してしまいそうです。

「どこかカフェに寄ろうよ。空港だと良い場所が無いし。」

と言うので、高速道路を一旦降りて、スターバックスに入りました。私だけがコーヒーを注文し、友人は何も頼みません。「慣れているから大丈夫」と友人は言っています。次のメッカ巡礼の話をしながら1時間程過ごし、空港へと向かいました。

マレーシアとインドネシアでは、イスラム教が普及する前に、仏教、ヒンズー教等が普及していました。そのため現在でも、様々な信仰を持つ人々が、それぞれの信仰や生活習慣を尊重しながら、共存しています。